陽イオンと陰イオン

化学

 原子は正電荷をもった陽子と負電荷をもった電子によって構成されており、その数がそれぞれ等しいため、電気的に中性です。しかし、何らかの原因によって電子を放出したり、電子を受け取ったりすることで、陽イオンや陰イオンという電荷を帯びた状態になります。ここでは、電荷をもった粒子(イオン)について説明します。

イオンとは

 はじめに、イオンについて説明する前に、原子について理解しておく必要があります。原子については、原子の構造電子殻と電子配置についてというところで説明していますのでぜひご覧ください。

 原子の中でも特に安定な状態は希ガスの電子配置(閉殻)の構造をしているときです。よって、原子の最外殻電子が、閉殻をとっていない構造のとき、(原子番号が最も近い)閉殻の構造になるように電子の受け渡しが起こり、陽子と電子の数の差が生じることでイオン化します。

陽イオン

 まず、陽イオンについて説明していきます。陽イオンとは電荷が正の状態のとき、よって、陽子の数が電子の数より大きいときに陽イオンといいます。ここで注意して欲しいところは、何らかの反応によって、陽子の数は変わらないことです。化学の勉強をしていく上で反応の中心になるのは電子の移動であり、陽子の数を変化させることは錬金術とほぼ同じで大変難しいことなのです。
 陽イオンでは、電子を放出して陽イオンとなります。例としてLi(リチウム)原子が電子を放出してLi+となったりします。

 
 

陰イオン

まず、簡単に理解できる陰イオンから説明していきます。陰イオンとは電荷が負の状態のとき、よって陽子の数より電子の数の方が大きいときに陰イオンといいます。ここで注意して欲しいところは、電子は負の電荷を帯びていることから受け取るほど負の電荷が大きくなることです。
 陰イオンでは、電子を受け取って陰イオンとなります。例としてF(フッ素)原子が電子を一個受け取ってFとなったり、O(酸素)原子が電子を二個受け取ってO2-となったりします。

 

イオンの大きさ

 原子が電子を受け渡しすることで大きさが変化します。また、電子配置が同じ(Li+とHe、O2-とFとNe、など)でも大きさが異なります。ここでは、大きさの大小やその理由について説明していきます。

イオン化することによる大きさの変化

 陽イオンになる場合、もとの原子よりも大きさは小さくなります。これは、電子の数が少なくなったことで、原子殻内の陽子により強く引き寄せられるからです。

 陰イオンになる場合、もとの原子よりも大きさは大きくなります。これは、最外殻電子の電子数が多くなることで、電子同士の反発が生じることで電子同士で距離を大きくとるためです。

陽イオン化:原子よりも大きさが小さくなる
陰イオン化:原子よりも大きさが大きくなる

電子配置が同じイオンの大きさの違い

 電子配置が同じで原子番号が異なるO2-とFとNeについて考えていきます。このとき、電子配置はすべてNeと同じく閉殻であり、原子番号(陽子の数)はO2-(8)、F(9)、Ne(10)となります。
 このとき、陽子の数が多いほど、電子が原子核に引き寄せられるため、大きさは小さくなります。考え方としては原子が陽イオンになる場合と同じで、陽子の数が多いか、電子の数が少ないかの違いだけです。


O2-(8)>F(9)>Ne(10)

電子配置が同じのとき、原子番号が大きいほど大きさは小さくなる

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