分子間にはたらく力

化学

 元素同士の結合には、化学結合と分子間力に大きく分けられる。化学結合には、金属結合、イオン結合と共有結合がある。以下に簡単にまとめた。

結合の種類結合のでき方結合の強さ物質例
金属結合金属元素の原子同士比較的強い金属
イオン結合金属原子の陽イオンと非金属原子の陰イオン強い石、土、コンクリート
共有結合非金属元素の原子同士非常に強い木、生物体、プラスチック
分子間力分子の間にはたらく引力の総称弱い水、窒素、二酸化炭素

 また、それぞれを詳しく説明する。

金属結合

 金属原子は陽性が強く荷電子は原子から離れやすい。したがって、金属原子が集まってそれぞれの最外殻の一部が重なりあうと、価電子は電子核を伝わって自由に移動できるようになる。このような価電子を自由電子といい、自由電子による金属原子同士の結合を金属結合という。以上から、自由電子はすべての原子によって共有されていると考えることができる。

自由電子による特徴

・展性、延性:展性とは、薄く広げられる性質、延性とは引き伸ばされる性質である。このような性質は自由電子が結晶全体を移動できることで、原子核の位置が多少ずれても結合が切れないためである。

・金属光沢:金属に光を当てたとき、電場を感じた自由電子が動くことで電場を打ち消される。そのため、光は内部に入りこみにくくなり、金属表面で跳ね返された光が光沢としてあらわれる。

・伝導性:自由電子が結晶内を移動して電気を伝えることができる。

イオン結合と共有結合

 イオン結合と共有結合を別物として考えてはいけない。

イオン結合

 金属原子が価電子を放出して陽イオンなり、非金属原子が電子を受け取って陰イオンとなる。その後、陽イオンと陰イオンとが静電気力(クーロン力)で引き合って結びつくことをいう。

共有結合

 非金属原子の最外殻電子と、もう一方の最外殻電子の一部が重なりあって、1つの電子殻となる。そこにそれぞれの非金属原子の価電子が対となって存在し、電子は両方の原子に共有され、それぞれの非金属原子は希ガス元素と同じ電子配置をとりともに安定となる。この結びつきを共有結合という。

イオン結合と共有結合の違い

 イオン結合と共有結合との違いは、結合している異なる原子の種類によって分けられているが、非金属原子同士の結合でもイオン結合に近い性質を示すこともある。これは結合している元素の電気陰性度の差が1.7あたりを境にして変わる。電気陰性度の差が大きければ共有電子が電気陰性度の大きい原子のように引き寄せられ、電荷に偏りをもつためである。

 イオン結合は、粒子間にはたらく力が強いため、一般に融点が高く、硬い。しかし、外部からの強い力が加わり、陽イオンと陰イオンの位置関係がずれると、イオン同士が反発しあうようになるため、結晶は割れやすく、もろい。
 共有結合は結合の種類のながで非常につよい。木やプラスチックに外部から強い力を加えても共有結合は切れず、木やプラスチチックを構成している高分子間の分子間力のみが切れる。

分子間力

 分子間力は分子間にはたらく静電気的な引力の総称であり、ファンデルワールス力や水素結合などいくつかの種類がある。

ファンデルワールス力

 塩化水素HClのような電荷の偏りをもる極性分子では、わずかに正の電荷を帯びた部分と、わずかに負の電荷を帯びた部分が静電気的な力で引き合う。また、窒素N2や二酸化炭素CO2のよう無極性分子でも分子の分布によって瞬間的な電荷の偏りが生じ、分子間に弱い引力が働く。このようにすべての分子間にはたらく引力や極性分子間にはたらく静電気的な引力をファンデルワールス力という。

水素結合

 窒素N、酸素O、フッ素Fなどは電気陰性度が非常に大きく、N-H、N-H、F-Hの結合ではH原子の電子が引き寄せられ、むきだしの陽子に近くなる。このような一般の極性分子に比べて強い静電気的な引力を水素結合という。

 ふつう分子間力はエネルギーにして1 kJ/mol程度であるが、水素結合は10~39 kJ/molと高い。そのため水の融点、沸点は同サイズの分子に比べてずっと高い。また表面張力も大きい。しかし、水素結合はファンデルワールス力に比べると非常に大きいが、化学結合に比べるとはるかに弱い。

コメント

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