なぜ人は水中で、魚は空気中で呼吸ができないのか?

 呼吸とは、体内に酸素を取り込み、その後に生じた不要な二酸化炭素を排出する過程のことを言います。呼吸は生物や植物でも行われますが、人は空気中の酸素を取り込み、魚は水中の酸素を取り込みます。また、この逆で呼吸をすることはできません。ではなぜ人は水中で呼吸することができないのかを説明していきます。

人間が空気中で呼吸をする仕組み

 人は、口や鼻から空気を吸い込み、気管を通って、肺へと送り込まれます。そして、肺にある肺胞による膜と毛細血管を通じて酸素を取り込み、二酸化炭素を排出します。排出された二酸化炭素は、気管を通り、口や鼻から排出されます。

酸素の取り込み  口や鼻 → 気管 → 肺
二酸化炭素の排出 肺 → 気管 → 口や鼻

よく呼吸では酸素をすべて取り組んで、息をはくときは二酸化炭素のみと考えられがちですが、そうではありません。以下にそれぞれの気体の濃度を示しました。

吸う息(空気):窒素 80%, 酸素 21%, 二酸化炭素 0.04%, その他
吐く息:窒素 80%, 酸素 16%, 二酸化炭素 4%, その他

魚が水中で呼吸をする仕組み

 魚は、口から水(いろいろな成分が溶けている)を取り込み、エラにある膜と毛細血管を通じて酸素を取り込み、二酸化炭素を排出します。排出された二酸化炭素は、エラから水中へと排出されます。

酸素取り込み 口→エラ
二酸化炭素の排出 エラ→(水中へ)

なぜ人間は水中で、魚は空気中で呼吸できないのか?

 人が水中で呼吸ができないのは、水中に含まれる酸素濃度が低いからです。酸素は水に溶けにくく、人の呼吸に必要な酸素を確保できません。また、酸素をたくさん溶かした特殊な水を用いても、口から吸って口で吐く呼吸をする人では、吐いた二酸化炭素が水のために拡散が起きにくく、もう一度吸うはめになるため二酸化炭素中毒に陥ってしまいます。

 一方、魚が空気中で呼吸できないのは、エラでは空気中へ二酸化炭素を排出できないためです。エラには二酸化炭素を排出する仕組みを備えておらず、水中では勝手に二酸化炭素が溶けることで排出が起こっています。そのため、空気中では呼吸ができないのです。

 以上のように、魚は水中で呼吸ができるように、人は空気中で呼吸ができるようにそれぞれの機能をもって呼吸をしていることから逆の環境で呼吸ができないのです。

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